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エリアマネジメント研究交流会 第6回 発表者募集のご案内

全国エリアマネジメントネットワークでは、
「エリアマネジメント研究交流会 第6回」を開催いたします。

本研究交流会は、エリアマネジメントに関する調査・研究・実践について広く共有し、
研究者と実務者の交流・議論を通じて、知見の深化と実践への展開を目指す場です。

本研究交流会は、これまでの運営内容を踏まえ、今年度より一部内容をリニューアルして開催します。

今年度も発表者の募集を行います。
調査・研究段階の内容や、実務の取り組み報告など、幅広いエントリーをお待ちしております。

 

今年の開催日は6月13日です。

本研究交流会は、出来るだけ多くの発表が行われるよう厳格な審査等は行いません。
また、一定の結論や独創性、先駆性を求めるものでもありません。
着手したばかりの調査、研究でも広く受け付けますので、よろしくお願いいたします。

開  催  日:2026年6月13日(土)11時〜18時(予定) 
     ※発表者の人数によって開催時間は変更になります。
主  催:エリアマネジメント研究交流会実行委員会
開催方法:発表者及び実行委員会のみ会場参加、その状況をオンライン配信
会  場:東京都(丸の内にて開催予定)※会場の詳細は参加者のみにお伝えいたします。

 

今年度より一部内容をリニューアルして開催します。

これまでの運営内容を踏まえ、今年度より一部内容を見直しました。

より参加しやすく、実践に活かしやすい内容へと一部リニューアルして開催します。
* エリアマネジメントに関する研究・調査を行っている方
* 現場での実践事例を共有したい実務者
* これから研究・実践を深めていきたい方
是非ご参加ください。

応募カテゴリーと審査基準

報告は以下のカテゴリーに分けて申し込みを受け付けます。

応募方法とスケジュール

発表希望者は所定のエントリーシートに必要事項を記入し応募申込ください。(報告タイトル・報告者・報告要旨)

☞エントリーフォームはこちら エリアマネジメント研究交流会第6回_エントリーフォーム

【エントリー受付期間】 2026年5月7日(木)~5月25日(月) 23:59まで

研究交流会 第6回に関する詳細は下記資料をダウンロードください。

☞ダウンロード 【ご案内】エリアマネジメント研究交流会第6回について

 

エリアマネジメント研究交流会について

研究交流会にエントリーされる方は、下記をご確認ください。

 

昨年開催の “研究交流会 第5回” について

昨年6月28日に開催した研究交流会 第5回では15件の発表がありました。第5回のアワード受賞者については以下のページをご確認ください。
第5回の梗概集も後日、本ホームページにアップします。お楽しみに。

開催後記 エリアマネジメント研究交流会 第5回

 

全国エリマネでは【エリマネ3.0】を提起します

 

全国エリアマネジメントネットワークでは、幹事会を中心にこれまでのエリアマネジメントの実践を俯瞰して振り返り、これまでエリアマネジメントがどのようなことを行ってきたのか、どのような意味を持っていたのかを整理すると共に、特にコロナ禍以降の近年の社会的な情勢等も踏まえたこれからのエリアマネジメントの意味、役割を議論してきました。
2025年9月に開催した第10回総会の際のシンポジウムではその議論の一端を紹介しました。その後、幹事会でも議論を重ね、この度【エリアマネジメント3.0 〜共創とリーダーシップによるまちの再創造〜】と題する文書を取りまとめました。

この文書は、エリアマネジメントのこれからの方向性を全国エリマネとして示すと共に、会員や会員外とのエリアマネジメントに関する対話の土台になるものと考えています。
是非、会員の皆さまにおかれましては、この文書をお読み頂き、組織内での意見交換をお願いしたいと思いますし、ご意見も頂戴できればと思います。

また、この【エリマネ3.0】を具体化していくためには、エリマネ組織のみならず、国や自治体等の行政、地域の事業者、住民等多様な方々との対話を重ねていくことが重要になると考えております。そういった対話の機会を是非、各地域でも行って頂くと共に、全国エリマネとしても今後対話の機会、シンポジウム等を検討しております。

今後の動きについても是非ご関心をお寄せください。

 

2026年1月16日
全国エリアマネジメントネットワーク

 

▼文書(PDF)は下記よりダウンロードください。▼

☛ ダウンロード 『エリアマネジメント3.0 〜共創とリーダーシップによるまちの再創造〜』

 

『エリアマネジメント3.0 〜共創とリーダーシップによるまちの再創造〜』

 

 

全国エリアマネジメントネットワーク 第10期通常総会を開催しました

2025年9月4日、全国エリアマネジメントネットワークの第9期の活動の振り返りと、第10期の活動方針を発表する総会を開催しました。今回は開業まもない「グラングリーン大阪」内のホールを会場に、多くの会員の皆さまにご参加いただきました。ここでは、当日報告された主な内容をレポートします。

冒頭、全国エリアマネジメントネットワーク会長・出口敦氏より、次のような挨拶がありました。

「全国エリアマネジメントネットワークは、今年で発足から10年目を迎えます。これまで、エリアマネジメントの実践と理念の広がりを見せてきましたが、その歩みを振り返ると、総会を通じて深めてきた交流や学びこそが原動力だったと思います。10年という節目は、区切りではなく新たな出発点です。これからの10年を見据え、皆さんと力強い一歩を踏み出していきたいと思います」

出口 敦 会長

第9期事業報告

続いて、第9期の主な活動と現状について報告しました。期のスタートにあたっては、2カ年を通じての活動方針を以下の通り定めました。

1. これまでのエリアマネジメントの振り返りとこれからのエリアマネジメントのコンセプトの検討
2. エリアマネジメントに関する職能の確立と人材育成
3. エリアマネジメントに関する各種文献資料・事例のデータベース化及びテキストの作成
4. エリアマネジメントに関する法制度の検証と提案
5. 全国エリアマネジメントネットワークの組織強化・会員拡大・情報発信の充実
6. エリアマネジメントの国際間連携の推進
7. エリアマネジメントの DX 及びスマートシティの推進

この方針に基づき、幹事会では活動テーマごとのワーキンググループを組織し、各幹事メンバーが主体的に事業の企画・運営を行いました。これにより多彩な事業が展開され、多くの会員の皆さまが全国エリマネの事業に参加いただくことに繋がりました。
個別の事業活動の詳細は以下の通りです。

●活動の総括
(1)エリアマネジメント活動の新たな展開の議論

第5回目となった「エリアマネジメント研究交流会」には約120名が参加し、エリアマネジメントの研究や調査報告の場として確立されつつあります。発表件数は前年同様15件でしたが、内容の質は向上しています。
また、これまで国土交通省と実施してきた「官⺠連携まちづくり DAYS」を発展させ、新たに「エリアマネジメント政策対話」を立ち上げました。第9期では2回開催し、都市再生法を中心とした政策制度の課題や方向性を議論。この活動を通した議論が国土交通省の懇談会にも活かされたことは、大きな成果となりました。

(2)幹事会ワーキングを通した事業の発展

第9期における幹事会ワーキングの取り組みとして、エリアマネジメントの年表作成や職能の確立、これまでの全国エリマネ内での情報蓄積の整理や教材・テキスト作成等の準備を行うなど、第10期に向けた議論を深めていきました。

(3)人材育成プログラムのアップデート

これまで実施してきた「プレイスメイキング講座」と「エリマネマインド養成講座」を統合し、より包括的な学びの場へとアップデートしました。さらに、新たに「全国エリマネ視察&研修会」を立ち上げ、第1回を⻑崎市で開催。エリアマネジメントの現場での視察と意見交換を通じて、実践者同士が学び合うプログラムを展開することができました。

第9期は、過去最多の事業を展開し、延べ約 1,000 名の方に全国エリマネの活動にご参加いただきました。会員数は正会員126名から140名へと増加し、近年では最大の伸びとなり、今後の発展に向けて大きな一歩を刻みました。

第10期事業計画

続いて、第10期の事業計画を報告しました。第10期では、第9期において定めた活動方針を引き継ぎつつ、特に次の取り組みに注力します。

 

●第10期の主な活動内容
(1)エリアマネジメントのコンセプト検討

第9期で行ったエリアマネジメントの振り返りをさらに深め、「エリアマネジメント 3.0」のあり方を会員と共にリサーチ・議論します。過去20年のエリアマネジメントの展開を俯瞰しつつ、社会変化に即した今後の方向性を探る機会をつくっていきます。

(2)エリアマネジメントに関する職能の確立と人材育成

エリアマネジメントの役割が未定義である現状を踏まえ、職能の明確化と人材育成を進めます。具体的には、若手実務者会議「AMU35」、エリマネ講座(エリマネマインド養成講座・エリマネ実務者研修講座)、実務者合宿、海外研修、エリアマネジメント研究交流会など、多様な学びの場を展開し、関わる人々の裾野を広げていきます。

(3)エリアマネジメントに関する各種文献資料・事例のデータベース化及びテキストの作成

各地のエリアマネジメント事例や研究を収集・体系化し、その蓄積を基にエリアマネジメントの実践ガイドとなる資料を整備します。ワーキングやアンケート調査を実施し、定量・定性的に活動実態を把握した上で資料を検討していきます。

(4)エリアマネジメントに関する法制度の検証と提案

都市再生特別措置法を中心に、エリアマネジメントを推進する各種制度や支援策について、その有効性や課題を改めて議論します。国・自治体との政策対話の場「エリアマネジメント政策対話」を設け、制度改善の提案を進めていきます。

(5)全国エリアマネジメントネットワークの組織強化・会員拡大・情報発信の充実

全国エリアマネジメントネットワークの発足から10年が経過した現在、次の10年に向け、法人化や事務局体制、会費制度などを含む次期組織体制を検討します。併せて、会員向け意見交換やシンポジウムを通じて、さらなる交流の拡大を図ります。

(6)エリアマネジメントの国際間連携の推進

カナダやアメリカで始まったBID(Business Improvement District)を起点に、海外の知見を学びつつ、日本のエリアマネジメントの発信を進めていきます。IDA(International Downtown Association)等との情報交換やアジア圏でのネットワーク形成、英語コンテンツの整備を行い、国際対話の機会も検討しています。

(7)エリアマネジメントの DX 及びスマートシティの推進

Society 5.0時代を見据え、エリアマネジメント実務へのDX導入を強化します。これまで活動してきているスマートシティ・DX研究会を第2期として継続し、会員を広く募りながら議論を深めていきます。

 

第9期の全国エリアマネジメントネットワークでは、研究会合同シンポジウムや人材育成プログラムの充実など、これまでの知見を実務に活かす展開が進みました。会員数は年々着実に増加しており、全国各地でのエリマネ活動のさらなる発展が期待されます。

今後も各地域での取り組みがより一層推進されるよう、全国エリアマネジメントネットワークでは、さらなる連携を築きながら次の10年に向けて新たなスタートを切ります。これからの活動にもぜひご期待ください。

☞総会資料はこちらからダウンロードできます。
第10期通常総会資料_全国エリマネ

沢山の皆様のご尽力のもと、2025年6月28日 会場発表及びオンライン配信にて「エリアマネジメント研究交流会 第5回」を実施致しました。

第5回は調査報告5件、研究報告4件、事例報告6件の、全15件の発表エントリーがありました。
▷当日のプログラムはこちら

会場はとてもアットホームな雰囲気ではあるものの、各発表に対して実行委員及び選考メンバーもからもたくさんの質問や意見が多数飛び交い、時間が足りないほど充実した情報意見交換・議論ができたと感じております。


恒例となりました各セッションでの全体統括では、発表テーマ毎に共通した質問やアドバイスも挙げらる中、全国エリマネ副会長の後藤氏の鶴の一声で「横連携の枠組み」も構築されるなど、本研究交流会ならではの着地に、会場では笑いも起こっていました。
こちらの展開も楽しみです。「横連携」の方々の来年の報告をお待ちしています!

 

【アワード受賞者】

第5回のアワードは以下の方々が受賞されました。 ※「◎」は発表者

【調査研究部門】
◇オーストラリア ニューサウスウェールズ州におけるBID組織の変遷とCIDパイロットプロジェクトについて
  ◎北野 達也 (岡山大学工学部工学科環境・社会基盤系都市環境創成コース)
    前田  雛 (岡山大学 大学院 環境生命自然科学研究科・院生)
    堀  裕典 (岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域 准教授)

【研究報告部門】
◇大阪版シェアドストリートモデル「歩行者と車両が共存し、滞留空間として車道を利活用する道路」実装化の成立要件・可能性に関する研究報告
  ◎米田 佳代 (合同会社blueflair /(一社)船場倶楽部 船場まちづくり検討会)
    三好 正人 (大阪ガス株式会社/(一社)船場倶楽部 船場まちづくり検討会)
    清水 勝民 (総合調査設計株式会社)
    橋爪 紳也 (大阪公立大学 特別教授)
    山口 敬太 (京都大学大学院 地球環境学堂 准教授)
    吉野 和泰 (鳥取大学 助教)
    中上 貴裕 (大阪市 建設局 企画部 企画課 道路空間再編担当)

◇「実験的BID制度」の特徴及び成果 −シンガポールの「Pilot BID Programme」の分析−
  ◎深津  壮 (日本大学大学院理工学研究科博士前期課程建築学専攻・院生)
    小野寺 瑞穂 (株式会社国際開発コンサルタンツ・修士(工学))
    泉山 塁威 (日本大学理工学部建築学科 准教授・博士(工学))

【事例報告部門】
◇再開発事業のエリアマネジメントの実践と、エリアイノベーションへの展開
  ◎鎌倉 大輔 (野村不動産株式会社 ATF エリアイノベーションタスクフォース)
  ◎藤原 由佳梨(野村不動産株式会社 ATF エリアイノベーションタスクフォース)
    安藤  響 (野村不動産株式会社 ATF エリアイノベーションタスクフォース)
    草間 孝太 (野村不動産株式会社 ATF エリアイノベーションタスクフォース)
    中島 滉平 (野村不動産株式会社 ATF エリアイノベーションタスクフォース)

【ベストプレゼンテーション部門】
◇公共空間における可動イスの設置と運用によるエリアブランディングに関する研究
  ◎岡田  潤 (東京大学大学院新領域創成科学研究科)
    山下 裕子 (全国まちなか広場研究会)

◇東京・勝どきから他エリアに広がる、稼げる、持続するエリアマネジメント
  ◎吉澤 晶子 (PIAZZA株式会社)

 

第5回 アワード受賞者の皆様 写真

 

本研究交流会恒例となりました“舗装材トロフィーシリーズ”
第5回目のトロフィーは、札幌市北3条広場 (通称:アカプラ)で使用されている煉瓦のトロフィーです。北海道江別市野幌地区『米澤煉瓦』さんにご協力頂きました。
受賞者の方々には、御名前とタイトルを記載し、制作後に各受賞者に贈呈されます。受賞者の皆様は楽しみにお待ちください。

 

今回も、トータル7時間超えという長丁場ではありましたが、多岐にわたる視点での発表を伺うことができ、大変有意義な会となりました。
海外制度の研究や各地の特徴的な取り組み、古い地域活動の再評価、新しい実践など、多様なアプローチが共存している点に日本のエリマネ環境の豊かさを改めて感じました。
特に、今回は企業の方からの実践報告が複数ありました。長年の取り組みを一つの成果として報告いただこと、そしてデベロッパー視点での仕様や収益性を意識した継続的な実践をお話頂き、エリアマネジメントに関する研究や実践報告の内容の多様性も広がってきたと実感しました。

嘉名実行委員長からの総括です。
「建設費の高騰や人口減少、地方都市の衰退といった課題が進む中で、従来の開発型から価値向上を目指すエリアマネジメントへの転換が求められている。そうした時代において、現場の課題を共有し対話を深める研究交流会の重要性は一層高まっていると感じる。
5年間の取り組みを振り返ると反省点もある一方で、発展し順調に進んできた面もある。今後も引き続き皆様のご支援賜りながら、研究交流会を盛り上げていきたい。」

 

本研究会に様々な点から関わってくださる皆様と共に、更に盛り上がっていければ嬉しく思います。
引き続き、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

最後に、参加者の皆様、付き合いいただきました視聴者の皆様、ありがとうございました。

 

▲第5回選考委員▲

○実行委員長:嘉名 光市(大阪公立大学院 教授)
○各セッション担当委員
【調査研究部門】司会:村山 顕人(東京大学 教授)
【研究報告部門】司会:野原  卓(横浜国立大学 准教授)
【事例報告部門】司会:要藤 正任(京都産業大学 教授)
【実行委員メンバー】
泉山 塁威(日本大学 准教授)、宋  俊煥(山口大学 教授)、
高木 悠里(大阪公立大学 講師)、丹羽 由佳理(東京都市大学 准教授)、
堀  裕典(岡山大学 准教授)、御手洗 潤(東北大学 教授)、
籔谷 祐介(富山大学 講師)、
【選考メンバー】
後藤 太一(リージョンワークス合同会社 代表社員/全国エリアマネジメントネットワーク副会長)
金城 敦彦(一社)大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)、
大原 大原 大志(一社)大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会/全国エリアマネジメントネットワーク幹事)
○全体司会・運営:全国エリアマネジメントネットワーク事務局
【事務局】
長谷川 隆三(全国エリアマネジメントネットワーク)、
関口 泰子(全国エリアマネジメントネットワーク)、
三牧 浩也(UDCネットワーク)
【運営サポート】
東京都市大学環境学部 丹羽研究室の皆さん

会の実施・運営にご尽力いただきました皆様、ありがとうございます。

2025年6月20日『プレイスメイキング講座2025』を開催しました。

全国エリマネでは、エリアマネジメントに従事する実務者の育成、能力向上を目的に、エリアマネジメントに係わるいくつかのテーマを設定し、実務者同士のディスカッションやケーススタディを行う研修事業を2022年から実施しています。

実践的なエリアマネジメントについて学ぶこの講座は、「パブリックライフ」を切り口に、公共空間を人々の居場所として魅力的かつ安全に活用・運営する方法を考えることを目的としています。
講座の前半ではパブリックライフを分析し、講師や参加者とともに理解を深めました。続く後半では、パブリックライフを組み立てるにあたって、講師3名からより実践的な視点や考えが共有されました。

▷▷▷【開催レポート】プレイスメイキング講座2025_前編 はこちら。

 

視点の共有①|価値基準の置き方

まず、園田氏が共有する視点は「価値基準の置き方」についてです。
パブリックライフを組み立てるにあたっては、それが価値あるものかどうかを評価する基準が不可欠であり、その価値基準によって目指すべきエリアの方向性が大きく変わると説明します。

「『住みやすい街ランキング』のようなエリアの価値調査は、あらゆる企業や機関で実施されていますが、ある新聞社では定量的に評価している一方で、不動産会社では定性的に評価しており、それぞれまったく異なる順位になっています。どちらが正しいということではなく、どこに価値を置いて評価するかによってそのエリアの良し悪しが変わるため、価値基準は非常に重要になるんです」

ただし、ひとつのエリアにしてもその場に関わる人は多様であり、行政、企業、地域住民など立場によって何にプライオリティを置くかは当然異なります。むしろ、すべての人が同じ方向を見ることはほぼあり得ない、と園田氏は断言します。
その上で、「パブリックライフの有無とその質」がエリアの新たな価値基準となり得ると続けます。

「現在関わっているエリアでは、さまざまな立場の人が理想とするシーンをそれぞれ絵に起こして全体で共有できる状態にし、そのシーンに寄与するかどうかを基準に取り組む内容を検討しています。それによって、同時多発的にいろいろなことが動く状態になっているんです。
ただ、公共的な取り組みは行政の支援によって行われることが多く、取り組みの評価を報告しなければなりません。一般的には人口増加や地価上昇などが成果としてわかりやすいですが、取り組みひとつでそこまで変えられるものでもないし、それを目的とした取り組みばかりでもない。そうしたことも踏まえて、『交換/利用/印象/社会的/環境/文化的』という6つの価値基準を設定し、パブリックライフを評価するようにしています」

例えば、ある広場でマーケットイベントを開いて、人が食事をしたり休んだりといったアクティビティが生まれたとします。それが人口増加に直結するとは評価しづらいですが、さまざまな過ごし方を可能にさせる「利用」における価値や、“さまざまな過ごし方ができる場”という認識を生む「印象」の価値創出に繋がっていると捉えることができます。

「あらゆる価値観に応じた評価基準を複数設けることで、さまざまな立場の人がその場所の価値を多面的に捉えられるようになり、取り組みがうまく進むことに繋がります。
改めて重要なことは、目指すべき理想的なシーンを絵として可視化して共有し合うことと、そうしたシーンを多面的に評価できる基準を持つこと。その2つによって、街に居場所が増え、生活の質が上がり、愛着が醸成されていくと思います」

 

視点の共有②|空間デザインから

多面的な価値基準の重要性を理解したところで、それら一つひとつをどのように空間に落とし込めばよいでしょうか。続く上田氏からのレクチャーでは、空間デザインにおいて重要な3点のポイントが共有されました。

①特定の人に届ける意義

まずは、その空間を誰に届けるかという視点です。上田氏は、“多くのみんな”へではなく“特定のこの人”へ正しく届けることで、そこから自然と波及していくと言います。
「例えば、過去に手掛けたマルシェでは、開業まもない個人店や地元の珍しい商品を並べるようにしました。集客に繋がる知名度を持っていなくとも、独自性を際立たせることでそのエリアならではの体験となり、新たなファンを生むことに繋がるんです。あまねく人に届けないといけないというプレッシャーから解放され、一部の人にとっての価値を開いていくこと空間に落とし込んでいくと、いろいろな人に届くきっかけをつくることができます」

②他者と共にいられる場所

2点目は、人がいたいと思える場のあり方について、疎外感を感じずに(自分の”好き”を満たしつつ)他者といれることを大事にしているそうです。
「属性に関係なく過ごせる公共空間であるためには、他者と共にいられる状態でなくてはいけません。そして他者と共にいられると思えるために、自分がやりたいと思うことが誰にも迷惑をかけない範囲でできる場になっていることが必要だと考えています。他人が不快にさえ感じなければどんな過ごし方をしたっていい、と思える塩梅の場を目指すことで、さまざまなものが共存し、面白い空間になっていくんです」

③違いの重要性

3点目は、違いの重要性について。一般的には公共の価値は、誰もが平等でいられることと捉えられますが、公共空間だからこそ、異なるあるいは偏った価値観の混在が大切だと強調します。
「平等と公平の違いを明確にする必要があって、平等は『等しくひとつ』という状態を指し、不満は出づらいもののみんなと一緒だと個々人の満足度は低くなります。一方で、公平は『異なるものがいくつも』という状態で、自分にフィットしたものを選ぶことができ一人ひとりの満足度が高くなります。さまざまなニーズに対応することは難しいと思いますが、さまざまな違いを意識して、それを空間にどう並べていけるか考えることは大事な視点だと思います」

 

視点の共有③|「コ・デザイン」による運営とは

価値基準、空間デザインの視点が共有された後は、鈴木氏から運営の視点でのレクチャーです。
さまざまな人たちと運営していくにあたっての重要な視点として、「コ・デザイン」の考え方について共有されました。

「『コ・デザイン』とは文字通り『ともにデザインする』ことを意味し、決定権を少数の人が握るのではなく、ともに取り組むことの必要性を提唱しています。コ・デザインでは必ずしも課題解決といったわかりやすい成果を求めるわけではなく、プロジェクトを通して経験を積むこと、新たな関係が生まれること、新たな視点を得ることなど、人々がともに学ぶことに重きを置いている点も特徴です。長期的なプロセスを通して、関わる人同士成長しながら一緒に活動できるようにすることが目標になります」

「そして、『コ・デザイン』におけるデザインとは、人と人を繋ぐこと、行動を生み出すこと。これまでの社会は「つくる人」と「使う人」が分かれていましたが、現代社会はもっと立場が複雑で動的になっており、単一の視点で解決策を捉えるには限界があり対応しきれません。だからこそ、『一緒に考える』『一緒につくる』という姿勢が重要になります」

その具体的な例として、鈴木氏が関わった商店街でのマーケットイベントの事業において、コ・デザインの考えを取り入れて行うことで成果に繋がったと言います。

「そのマーケットでは、関わるメンバーそれぞれが個人でできる範囲での支援をする、ということを心がけていました。SNSを運用するとか、地域の人にExcelを教えるだとか、通常では業務外のことかもしれないけれど、無理のない範囲でできることを積み重ねていくと長期的に大きなリターンをもたらすんです。それまでは関わる人たちに活躍してもらうにはどうすればいいか、資金出して稼働してもらおうかと考えていましたが、根本的に人は人を喜ばせることが好きで、むしろそれを開放できる場をデザインすることが重要だと気付いたんです。これこそコ・デザインの考え方であり、地域にはいろいろな人がいるので繋がりを大いに活かせる場をデザインすれば、本当に何でもできるようになります。
コ・デザインは手法というよりも考え方や態度に近く、わかりやすい方法論ではありませんが、長期的な取り組みおいて強度を発揮するものになるんです」

 

グループワーク・感想共有

視点の共有の後は、パブリックライフの組み立てに取り組んでいきます。まずは個人ワークとして他の参加者が取り上げた場所の写真を読み解き、グループで考えを共有して自分以外の視点を取り込みます。そして、パブリックライフを組み立てたい場所と理想的なシーンを仮定し、それに必要な要素を4つのレイヤーごとに考えていきます。
あくまで仮想のパブリックライフではありますが、インプットしたことをその場でアウトプットとして残すことで、今後のエリアでの取り組みに活かせるようなアイデアを膨らませていきました。

最後に、参加者と講師それぞれの気づきや考えを発散する形で、感想を共有し合いました。

「僕らの世代がやるべきことは、上の世代ができなかったことで、そうしなくてはエリアは面白くなりません。考えるよりもまずはやってみる方が早いですし、やってみれば必ず得るものがあります。皆さんもそれぞれのエリアでどんどん実践を重ねていただき、それをこのネットワークを通して持ち寄って、さまざまな現場での取り組みを共有していきたいと思っています」(園田氏)

「鼎談で『何も考えないでやってはいけない』と話したように、言葉ひとつで関わる人の捉え方は変わります。その一つの例として、コ・デザインに取り組む際は『課題』という表現はなるべく避けるようにしているんです。というのも、あるプロジェクトで地域の課題解決の提案をしたところ、地域の人から『自分の街には課題がたくさんあると思って悲しくなった』と言われてしまったことがあります。そうした気持ちにさせてしまうと、コ・デザインは成り立ちません。あらゆる立場の人がどう捉えるかを常に心に留めておくと、さまざまなことに気付けるようになると思います」(鈴木氏)

「エリマネの仕事はノウハウがあまり確立されない分野で、文化人類学に近いところがあると感じています。コミュニティの中に何も知らない立場として入り込み、ともに過ごすことでお互いのことを知り、その場に馴染んでいく感覚がまさにそうですよね。その時に大事なのは、プロ意識を持ちながら、利用者の視点も忘れずに持つことです。相反することかもしれませんが、相手が自分のやっていることを見たらどう感じるかを考えながら取り組んでいきたいと自分に向けても思いました」(上田氏)

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分析から具体的な組み立てまで、実践に活かせる形で学びを深めたプレイスメイキング講座。
プレイスのあり方は千差万別で、考えるべきことは尽きないかもしれません。けれども、このネットワークでそれぞれに取り組んで得た知見や思考を共有することは大きな力になるはずです。これからも繋がりを強く、濃くしながら、全国各地でのエリマネ活動に寄与する取り組みを展開していきたいと思います。

2025年6月20日『プレイスメイキング講座2025』を開催しました。

全国エリマネでは、エリアマネジメントに従事する実務者の育成、能力向上を目的に、エリアマネジメントに係わるいくつかのテーマを設定し、実務者同士のディスカッションやケーススタディを行う研修事業を2022年から実施しています。

実践的なエリアマネジメントについて学ぶこの「プレイスメイキング講座」は、「パブリックライフ」を切り口に、公共空間を人々の居場所として魅力的かつ安全に活用・運営する方法を考えることを目的としています。 場の観察や分析からデザインの視点まで、エリアマネジメントのさまざまな実務におけるヒントを参加者とともに深め合った本講座。 この場で共有された知見やアイデアの一部をレポートします。

イントロダクション

本講座は、全国エリアマネジメントネットワークが組織するワーキンググループによって企画されました。
メンバーは有限会社ハートビートプランの園田聡氏、MEMENTの上田孝明氏、O + Architecture ltd.の鈴木美央氏の3名。
講座も3名による主導のもと行われました。

はじめに、園田氏からイントロダクションがあり、本講座にあたって前提の共有がなされました。

「まず、普段皆さんが取り組んでいる『エリアマネジメント』とは何でしょうか。言葉を区切って見ていくと、『エリア』とは、買い物や読書をしたり、休んだりできる『プレイス』と呼ぶような小さな場の集合体と捉えることができます。そうした小さなプレイスの集合をマネジメントすることが『エリアマネジメント』である、ということを共通認識として持っておきたいと思います。
その上で、今回のプレイスメイキング講座ではマネジメントや組織論といった話の前に、我々が向き合う『プレイス』について理解を深めることを目的としています。そもそもどういう場が豊かと言えるのか、エリアの価値向上に繋がる空間とはどういったものか、皆さんの視点も共有いただきながら、考えていきましょう」

小さな場について考える「プレイスメイキング」は、言わばやがてエリアマネジメントへ広がっていく種です。そして園田氏は、そうしたプレイスメイキングには3つのポイントがあると続けます。

 

Point1. 活動と空間の適切なマッチング

プレイスメイキングの出発点は、どんな人が、どんな時に、どんな気持ちでその場にいるのか、そしてそれはどのように生み出されているのかを捉えることです。そうした背景をうまく捉えられないままでは、エリアにどういった空間やサービスが必要か判断がつかず、迷走したプロジェクトになりかねません。
その場に生まれている豊かなシーンには必ず理由があり、活動と空間がマッチするように要素のバランスを取ることが重要になります。

 

Point2. プロセスのデザインが最も大切

公共空間は地権者、行政、企業、テナント、地域住民など、多様な人が関わる場であり、その中で体制や進行フローをどのように設定するかは非常に重要です。チーム内で利用者像が共有されていない、建築設計と運営方針が一貫して検討されていないなど、よく聞かれる課題の多くは、プロセス設計が曖昧であることに大きく起因します。誰と何を議論すべきか、どの範囲までの合意を得るべきか、意見をどういったステップでアウトプットに落とし込むか。そうした一つひとつの積み重ねが最終的な場にも影響するため、目標達成に向けた適切なプロセス設計が要になると言います。

 

Point3. The Power of 10

これらのポイントを踏まえた上で、具体的にどういったプレイスを目指すべきでしょうか。
本講座では、いいプレイスとは10以上のアクティビティが共存しており、それぞれの人にとって意味がある場所と捉えます。ここで指すアクティビティとは、「偶然知人と出会う」「勉強や読書をする」「食事を楽しむ」といった活動です。単一機能の場所ばかりでは空間として効率が悪く、人々の関係性も生まれづらくなりますが、複数のアクティビティが共存し、さまざまな人によって使い続けられる状態であると、豊かな印象のある場になります。
この豊かさこそが鍵であり、本講義のテーマである「パブリックライフ」を読み解くことに繋がっていきます。

 

パブリックライフをどう捉えるか

プレイスメイキングのポイントを踏まえ、早速「パブリックライフ」の分析に取り組んでいきます。
分析にあたって、パブリックライフがある場所には「必要/任意/社会活動」が生まれていると園田氏は説明します。

「通勤や買い物などの義務的な活動を指す『必要活動』はどんな街にも発生しますが、そこに散歩やレクリエーションなどそうしたい気持ちから行われる『任意活動』や、挨拶や会話、コミュニティ活動といった他者と関わる『社会活動』が生まれる受け皿になっていることが、パブリックライフのある場所です。それは行政が持つ公共空間に限らず、カフェや民間施設においても持ちうるもので、その空間に応じてあらゆる活動の共存を考えていくことがパブリックライフの実現の一歩になります」

こうした活動が複合的に共存していることがパブリックライフであり、それを実現することがすなわちプレイスメイキングに繋がります。

続いて、パブリックライフを捉える際の視点が共有されました。
全国各地のすぐれた公共空間を評価する「まちなか広場賞」というアワードで定められた審査基準を参考に、「広場の日常的な豊かなシーン」「豊かなシーンを生み出すための要素」「豊かなシーンがあり続けるための仕組み」「豊かなシーンの担い手となる人・組織」の4つのレイヤーで捉えることで、場の構成を理解できると説明します。

「自分が豊かさを感じるシーンを起点に、そうした状況を生み出す要素には何があるのか、その要素を提供するにはどんな仕組みがあるのか、その仕組みが導入できた背景にはどういった人や組織体制があったのか、それらを因数分解して読み解いていくことで、場の理解を深めることができます。
こうした分析ができるようになると、理想的な場所と自分が関わる場所の比較もしやすくなり、足りない要素が明確に見えてくるんです。そうした不足を明らかにし、補うような取り組みを実行することで、理想的なシーンの再現に繋げていくことができます」

 

鼎談|パブリックライフを分析し、理解を深める

プレイスメイキングとパブリックライフへのインプットを深めた後は、講師陣と参加者それぞれが事前に分析したパブリックライフの発表が行われました。
その内容は、豊かに感じたパブリックライフの写真を各自撮影し、なぜそう感じたのかを分析するというもの。自身が担当するエリアや話題のスポット、普段何気なく通りがかる場所などを選び、それぞれ分析します。参加者によって多様な視点があることはもちろん、普段の実務経験を活かした深い推察がなされ、それぞれのエリアで活動する参加者の知見も自然に共有されていきます。

ひと通り発表が行われた後はその内容を受けて、さらにパブリックライフについて思考を深めるための議論が展開されました。

鈴木 今回の宿題では3箇所の場所を挙げて分析してもらいましたが、最低でも3つ分析すると自分の視点が研ぎ澄まされます。普段皆さんは組織の一員としてエリマネに取り組まれていますが、属人的な視点も大事だと思うんです。さまざまな人と関わるからこそ、この人だからこういう意見を言うんだという姿勢は武器になるので、どんどん出していってほしいですね。

園田 それに関連して言うと、我々のように専門的にまちづくりに関わる人だけがこうしたことを学び、仕事として取り組み、利益を生むという構造によってできた空間ばかりになってもエリアとして面白くならないんじゃないか、というジレンマがあります。
(参加者に向けて質問)先程の発表で福岡の中洲の屋台を挙げて「嘘っぽくない空間だと感じた」と表現されていましたが、そこにヒントがある気がしています。どういった部分が嘘っぽくなく感じたのでしょうか?

参加者 中洲の屋台はとても自然発生的というか、その場がある必然性を感じたんです。私はこれまで商業施設で働いてきて、集客のために奇抜な取り組みをしてきましたが、継続させることの難しさを感じていました。それに対して、中洲の屋台は長い歴史がありひとつの風景になっている。そこに必然性というものがキーになるように思いました。

鈴木 必然性にまでたどり着くには、誰かが変えようと思っても変えることができないような文化にしないといけないと思います。それには時間が必要で、そこをどう設計するかが私たちの役割になるかもしれませんね。プロジェクトの時間軸を考える際、通常ではフェーズごとに計画的に区切りますが、とりあえず漠然と時間だけ見込んでおくといいんじゃないでしょうか。フェーズを固めすぎてもその通りに進むことはそうありませんし、ある程度泳がせながら起きることを見守るような時間の考え方も必要だと思います。

上田 文化というキーワードは、先程のレクチャーにあった場所を読み解く4つのレイヤーにも紐づけることができそうですね。一番下のレイヤーのさらに下に、その場所に元々あった文脈を読み解くことも大事です。いい場所には必ず文化があり、文化の影響を受けて人が活動しているように思います。

園田 時間軸の話で言うと、僕がかつて実証実験として携わっていた仮設の広場があるのですが、4年ほど実証した後いまはもうなくなっています。ただ、4年という限られた期間でも若い人や子供たちにとっては、変化の大きい青春期間をそこで過ごしたという記憶が定着するんですね。そうした記憶があると、街に出て広場に行くことが当たり前っていう習慣になる。それはひとつの文化と捉えることができるし、それこそ嘘っぽくないことですよね。
日本にはヨーロッパのように広場の文化がないと言われることがありますが、日本だって今から取り組むことで文化になりうることができるはずです。そういう意味でも、一定の時間を見ていくことはとても価値があると思います。

鈴木 あとは、偶発的に何かが起こることが当たり前のようになると、本当の豊かさに繋がるんじゃないかと思います。完璧にしようとしすぎないことが大事で、隙がないと人は関わってくれません。完璧はむしろ罪と思った方がいいと思うんです。

上田 ブリコラージュの感覚に近いですね。場の使い方を固めすぎず、もしかするとこんなこともできるかもしれないというような姿勢を持っておくと、訪れる人も柔軟に考えられる場にすることができると思います。

園田 完璧は罪というのはその通りですね。完璧にしすぎてしまうと訪れる人が消費者にしかならず、提供者と消費者の関係にとどまってしまう。来訪者にもこういうことがしたいという欲求が必ずあるので、余白を持たせることが大事だと思います。組織的には完璧でないものを通すことは難しいと思うのですが、余白と不備の違いをしっかり捉えてデザインできるといいですよね。

鈴木 そういった点で私が大事にしていることがあって、フライヤーなどを作る際には基本的にはプロのデザイナーではなく、副業的にやられている方や地域に住む絵が得意な方にお願いしています。それは、自分も関われそうと思える機会をつくるための戦略で、そうした積み重ねが余白になっていくじゃないかと思います。
一番大事なことは、何も考えないでやってはいけないということかもしれませんね。フライヤーを誰に頼むかにしても、ワークショップを何曜日の何時に実施するかにしても、相手を消費者にしないためにはどう工夫できるかを、すべての要素に対して考えることが必要だと思います。

園田 普段企画をするときに意識しているのは、広場や公園や道路を借りる際に、全面貸切にはせず一画だけを使うようにしています。普段通りに過ごしている人がいて、その一方でいつもと違うことが起こり始めると、境界がわからなくなるんです。企画がその場全体を支配しないことが重要で、そうすると自然と溶け込むような形になり、不確実性みたいなものも入ってくるように思います。
この場でどういったことが起こるといいかを考えて、それを仕掛けることはもちろん重要ですが、想定外のことが起こった時にそれをしっかり受け入れられる寛容性を運営側が持っておくことも大事な余白と言えますね。

 

参加者の意見交換と共有

白熱する議論に刺激されたところで、参加者同士で意見交換へ。怒涛のインプットによってそれぞれの頭に渦巻いている考えを言語化して吐き出し、また違う意見を取り入れることで、さらに考えを深めることに繋げていきます。
少しの休憩を挟み、続く後半ではパブリックライフの組み立てを行っていきました。

 

▷▷▷【開催レポート】プレイスメイキング講座2025_後編 に続きます。

オンラインにてご視聴いただけます!

6/28に開催する「エリアマネジメント研究交流会 第5回」をオンラインにてご視聴いただけます。
エリアマネジメントに関する研究者や実践者の方々の発表を、是非ご覧ください。

【エリアマネジメント研究交流会 第5回 オンライン視聴】
開催日時:2025年6月28日(土)10:30 - 18:15(終了予定)
開催場所:zoomウェビナー
参 加 費:無料、zoom事前登録制
▼下記リンクから事前登録をお願いします▼
▷ウェビナー事前登録サイト「エリアマネジメント研究交流会 第5回」視聴
※ご登録後、ウェビナー参加に関する確認メールが届きます。

当日のウェビナーでは、Q&A機能にて発表への質問も受け付けます。
たくさんのご質問お待ちしております。

▼当日のプログラム▼
☞ダウンロード 【プログラム】エリアマネジメント研究交流会第5回

今年も”エリアマネジメント研究交流会”開催します!

エリアマネジメント研究交流会の第5回を今年度も開催致します。
「エリアマネジメント研究交流会」は、全国エリアマネジメントネットワーク、UDCネットワークの2者による実行委員会で運営しており、エリアマネジメント研究の深化、すそ野の拡大、研究者と実務者の意見交換・交流の場の提供を目的としています。
本研究交流会では、エリアマネジメントに関する調査、研究や実践について広く発表者を募り、研究者同士、研究者と実務者での議論を通じて、エリアマネジメントの役割や価値・評価、実践知等についての知見を深め、共有していきたいと考えております。

今年は6月28日開催です。

第5回として2025年6月28日(土)に開催することと致しました。5月より発表者の募集を行いますので奮ってご参加ください。本研究交流会は、出来るだけ多くの発表が行われるよう厳格な審査等は行いません。また、一定の結論や独創性、先駆性を求めるものでもありません。着手したばかりの調査、研究でも広く受け付けますので、よろしくお願いいたします。
※開催方式につきましては、「発表者及び実行委員会のみ会場参加、その状況をオンライン配信」を想定しております。

▼研究会に関する詳細及び研究交流会へのエントリーについては、下記資料をダウンロードください。▼
☛ ダウンロード 【ご案内】エリアマネジメント研究交流会第5回について
☛ ダウンロード 【ES】エリアマネジメント研究交流会第5回_エントリーシート

発表は「東京」にて開催します。※会場の詳細は参加者のみにお伝えいたします。

研究交流会 第4回について

昨年6月29日に第4回を開催した研究交流会では15件の発表がありました。第4回のアワード受賞者については以下のページをご確認ください。
第4回の梗概集も後日、本ホームページにアップします。お楽しみに。

開催後記 エリアマネジメント研究交流会 第4回

 

エリアマネジメント研究交流会について

研究交流会にエントリーされる方は、下記をご確認ください。

2024年8月30日、エリアマネジメントシンポジウム2024を虎ノ門ヒルズステーションタワーにて開催しました。今回のテーマは「エリアマネジメントの意味を考える」。エリアマネジメントと呼ばれる活動や事業が生まれて20年が経過した今、改めてエリマネを見つめ直す議論を二部構成にて行いました。
多様な立場や地域でエリマネに取り組む方々に登壇いただき、課題や悩みを共有しながら「これからのエリアマネジメント」のヒントに溢れた【開催レポート_その3】です。

▷▷▷【開催レポート 全国エリアマネジメントシンポジウム2024_その1】はこちら。

▷▷▷【開催レポート 全国エリアマネジメントシンポジウム2024_その2】はこちら。

 

SESSION2:エリアマネジメントに係わる私たち 
                    〜エリアマネジメントに携わる若手メンバーと中堅メンバーの対話によって〜

続いてのセッションでは、エリマネに携わる若手メンバーと中堅メンバーの対話によってエリマネそして、それに係わる人々について考えていきました。全国エリアマネジメントネットワークの若手実務者会議「AMU35」のメンバーから、日々の取り組みの中で感じる課題や悩みを投げかけ、中堅メンバーがメンターとしてそれに答える形で対話をしていきます。

<登壇者>

【メンター】
内川亜紀氏|札幌駅前通まちづくり株式会社 代表取締役
園田聡氏|有限会社ハートビートプラン 代表取締役(共同)

【AMU35メンバー】
金井れもん氏|(公財)中国地域創造研究センター/広島駅周辺地区まちづくり協議会
川島あさひ氏|東京建物株式会社
高山円香氏|三菱地所株式会社/大丸有エリアマネジメント協会
浅野進氏|安田不動産株式会社

【モデレーター(AMU35発起人)】
山中佑太氏|NTTアーバンソリューションズ株式会社
内野洋介氏|(一社)二子玉川エリアマネジメンツ/東急株式会社

 

AMU35メンバー
(左上:川島あさひ氏 / 右上:浅野進氏 / 左下:金井れもん氏 / 右下:高山円香氏)

 

Q.現場対応や関係者調整など目の前の業務に追われ、エリマネの上流にあるビジョンと現場の取り組みとの距離を感じながらも、丁寧に振り返る時間がありません。また、アウトプットの機会が少なく、若手の頃はどういった行動をして視野を広げればよいでしょうか?

内川 若手ではなくなった今でも目の前の業務に追われていますが、私の場合は少し割り切っていて、イベントなどの現場業務は一番自分たちが考えていることを表現する場だと捉えています。イベントは「手段」なので、手段とビジョンがなるべく近づくように心がけていますね。振り返りも、資料をまとめて関係者を集めてしっかり時間を取ろうとすると大変ですが、実は雑談の中で振り返っていることが結構多いので、そういったことでも大切にするようにしています。
若手の頃の情報収集については、全国エリマネの事務局の方と仲良くなって、とにかくなんでも話を聞いてました(笑) 私の頃はエリマネ女子会という活動があったので、そこで他のエリマネ団体の先輩方と仲良くしていただいて、皆さんの話の中から課題の糸口を見つけるようにしていましたね。今でも様々なプログラムがあるのでそういった場に参加するといいかもしれません。

メンターの内川亜紀氏

 

園田 私はコンサルの立場なので、ビジョンと実際の取り組みがいかに結びついているかを言語化することが大きな役割ですが、若い頃は言語化しようにもスキルも経験も乏しかったので、現場にいる方の話をたくさん聞いて、その想いを自分なりに言語化するようにしていました。中でも一番よく聞きに行っていたのは飲食店の方の話。飲食店は、地域の経営者の中でも非常に高いリスクを背負っていて、自分の業態や出店理由にしっかりロジックを持ってらっしゃるので、街の声として非常に学ぶことが多いんです。
そういう方々がどういうビジョンやポリシーを持っているのか、自分たちが実施したイベントは何か寄与できていたのか、別の席で食べているお客さんが関心を持ってもらえる内容になってたかなんかを考えて。正しいかどうかはわかりませんし、お店のことは自分で調べてこいと怒られることもありましたが(笑) でも自分たちの視野も広くなりますし、すごくしっくりくるお話が多かったと思いますね。

 

Q.エリマネの取り組みはKPI設定や効果測定が難しく、どういった指標で測るべきか悩んでいます。また、エリマネの一環として行っている清掃活動には多くの方が参加してくださる一方で、そこからの展開に繋げられない状態が続いています。ステークホルダーが非常に多い中で、新しい取り組みに巻き込んでいくにはどうしたらよいでしょうか。

園田 コンサルの立場で言うと、自分が好きで素敵だと思うことに取り組めばいいと思います。コンサルという存在は当事者の方からすると、お金もらってあるべき論を言っているだけと思われがちで、なかなか話を聞いてもらえないんです。なので、地域のこの人が言っていること、考えていることの中で、自分が心から素晴らしいと思えるものに対して、どうやったら実現できるか考えるようにしています。
地域には多くの企業がいるので一社一社すべてが合意して、全員がメリットが感じられることをやるというのはそもそも無理があるんです。それだったら、明確にやりたいことがある一社に絞って、今回はこの企業のテーマで皆さんでできることをやってみませんかと動くようにしています。この時に、お金を募るだけではなく、それぞれが持っている本業のリソースを共有してほしいとお話しすることも大事です。デザイン系の会社だったら制作物を協力してもらえないかとか、学校があれば学生に関わってもらうことができないかとか。一社ではできないことも、地域全体で力を合わせることでこんなことまでできるんだとわかってもらえれば、次に繋がっていくんですよね。
各社がどういったことにメリットを感じているかは、僕らではわからないことがたくさんあるので、話を聞いて何を求められているのかちゃんと理解して蓄積していくと、新しい活動に活かせるようになると思います。

メンターの園田聡氏

 

内川 清掃活動は参加してくれるだけで嬉しいと思った方がきっといいですよね。仲間がこれだけいるんだとお互いに知ることができますし、顔がわかるだけでも何かに繋がるんじゃないかと考えています。
KPIは誰もが難しいと感じていることかもしれませんが、私たちの場合は常にビジョンやミッションと照らし合わせて活動がちゃんとそれに伴っているかを確認しています。

園田 KPIや効果については、一つの取り組みを見た時に、どう多面的な価値を見出せるかといった見方をすることが大事だと思いますね。
例えば、ある街の駅前に中高生が多く集まる広場をつくった際に、周辺のステークホルダーの方にこの場所にどういった価値を感じるかヒアリングしたんです。その中で20代向けのショッピングセンターのテナントさんが、「広場に集まる中高生は、今はうちで買い物はしないけれど、3〜4年すればメインターゲット層になるので、この場所に親しみを持ってくれれば今後お客さんになってくれるかもしれない」という話をされて、そういう考え方もあるのかと思ったんです。つまり、店舗の経営判断として直近の顧客獲得に繋がらないことには投資できないけれど、公共なら将来的な人の流れを想像して投資できる。街で過ごす習慣をエリマネ側でつくっていくことは、ある種数年後に対する顧客創造の投資にも繋がるので、新しいマーケットをつくるという説明もできるんです。そうやって、絶対的な正解というよりあらゆる見方で価値を見つけていくことが大事だと思いますね。

内川 ヒアリングに行くと、事務局の言ってることって難しくてわかんないのよと言われることが結構ありますよね。やっぱり人それぞれの理解の度合いは異なるので、自分たちがやりたいこともあるけれど、相手の目線で話を聞くということはずっと大切にしていることかもしれません。

 

Q.エリマネは板挟みになる苦しみや収益性の悩みなど、逆風も多く負けそうになる時もあり、日々のモチベーションに波が生じます。そういった時はどうしていますか?

園田 僕の場合は最初の質問にもあった、その街の飲食店に話を聞きに行きますね。エリマネはステークホルダーが多く、それぞれのメリットになっているのか収益性があるのかといった話によくなるんですけど、「誰のメリットにもなってないことをやってる」と思ってしまうと、そもそも仕事として意味があるのかというところまで考えてしまいます。そういった時に、自分たちの活動を最初に手を挙げて一緒にやってくれた人を思い出して会いに行くんです。自分たちがやってることをわかってくれている存在は安心しますし、街の人の顔を見ることで、誰のためにやっているのかを再確認していますね。

エリマネの取り組みはそれぞれの地域で異なりますが、志を同じくする立場の悩みは共通するもの。現場に立つ実務者同士、具体的なアドバイスは若手メンバーにとっても多くのヒントとなったようです。
対話の後には、メンターのお二人から若手メンバーに向けてコメントをいただきました。

「今エリマネに取り組まれてる方の中でも、『エリマネ』という言葉をあまり知らずに、会社に配属されて関わるようになった方は多いと思います。ですが、私も全く知らないところからここまでやって来ているので、すごく専門性が必要なのかというとそれだけではありません。皆さん立場も違いますし、やっていることも全員バラバラなので、違いを楽しみながら業務に携われたらいいんじゃないかなと思っています」(内川氏)

「先輩方の研究や取り組みによって日本なりのロジックや手法が整理され、その功績の上に僕らはエリマネ活動をすることができています。一方で、これからのことは今の現場に一番ヒントや可能性があると思っていて、新しいことに取り組むと今までのロジックでは解けない課題が出てきますが、それが解けた時にまた次のステージに進めると思うんです。そういう意味では、僕らは先輩たちがやってきたことに貢献しながらさらに発展できるよう、今日のように現場で感じていることを共有し、研究し、何か形に定着させていかなければなりません。世代ごとで積み重ねていくことを大事にしながら、自らも新しいフィールドに行けるようにどんどん現場で活躍してほしいなと思います」(園田氏)

最後に、本会会長である出口敦氏から閉会の挨拶がありました。

「今日の一番のキーワードは『悩む』だと思っていまして、各セッションの中でも非常によく出てきた言葉ですが、やはり皆さんで悩む場がこの全国エリアマネジメントネットワークであり、悩みを議論する中から答えを導き出そうとすることがこの組織の一つのあり方だと思っています。時代と共に悩みが尽きることはないと思いますが、今後も活発な活動を通じて、日本のエリマネを広めていきたいと思っています」(出口氏)

全国エリアマネジメントネットワーク会長 出口敦氏

2024年8月30日、エリアマネジメントシンポジウム2024を虎ノ門ヒルズステーションタワーにて開催しました。今回のテーマは「エリアマネジメントの意味を考える」。エリアマネジメントと呼ばれる活動や事業が生まれて20年が経過した今、改めてエリマネを見つめ直す議論を二部構成にて行いました。
多様な立場や地域でエリマネに取り組む方々に登壇いただき、課題や悩みを共有しながら「これからのエリアマネジメント」のヒントに溢れた【開催レポート_その2】です。

▷▷▷【開催レポート 全国エリアマネジメントシンポジウム2024_その1】はこちら。

 

●クロストーク

プレゼンテーションの後は、全国エリアマネジメントネットワーク幹事・森ビル株式会社の中裕樹氏、全国エリアマネジメントネットワーク副会長・リージョンワークス合同会社の後藤太一氏も加わり、3名でクロストークを行いました。

最初に、モデレーターである後藤氏からインプットと投げかけがなされました。

全国エリアマネジメントネットワーク副会長/リージョンワークス合同会社 後藤太一氏

 

「エリマネの役割を見直す前に、エリマネそのものの解像度をもっと上げて議論した方がいいと思っています。というのも、海外ではエリアマネジメントではなく『Urban Place Management』という言葉で表現していて、細かく定義もされているんです。まず、エリアではなく『プレイス』という言葉になっていますが、具体的にいうと『共有された文脈や関係性のある人々が生活する舞台』。つまり、施設や空間だけではなく、人の活動や人と人の関わりを扱っているということが大きな考え方です。もう一つ『マネジメント』というのは、日本のエリマネでは建物がつくられた後にどう使いこなすかという管理・運営を指すことが多いですが、海外の定義では計画、リーダシップの発揮、コミュニケーションとマーケティング、経済開発、制作提案などを包括して行うことをマネジメントの内容としています。
世界ではこういった考え方があり、定義化されている中で、日本のエリマネは現状何をしていて、今後どうあるべきか。そういったところに一歩踏み込んで議論できればと思います」(後藤)

 

「エリアマネジメント」という言葉が誕生して20年。さまざまな研究や取り組みを経て、そのあり方や意味を確立してきました。次第に日本の各地で取り入れられるようになり、エリマネはさらに発展を続けています。そうした現状を改めて会場の皆さんと共有した上で、次に何を考え、取り組むべきなのか、クロストークにより議論を深めていきました。

後藤 飯田さんのプレゼンテーションでは、「第三の自分」や「経験への開放性」など、エリマネの役割としてこれまで求められてきた経済発展以外にももっと大事なものがあるんじゃないかと感じました。

飯田 今世界中でまちづくりに取り組む人は、経済よりも人の幸せに重きを置いているように感じています。もちろん経済開発によって街が活性化することも大事ですが、そこだけを追求すると取り残されてしまうことがあまりに多いのも事実です。経済だけを優先してきた社会からの脱却する取り組みとして、インフォーマル・パブリック・ライフがあるんじゃないかと思います。

後藤 カフェの例もありましたが、インフォーマル・パブリック・ライフ的な場というのはどういったものがあり得るでしょうか。

飯田 お金を持っていなくてもいられることがポイントで、商店街や骨董市なんかはお金を持っていなくてもそこに佇んだり回遊するだけでも許されますよね。 ただいてもいいし、買いたかったら買ってもいいというぐらいの状態が、一番インフォーマル・パブリック・ライフとしてうまくいくと思います。
デザイン的なことで言うと、まず誰でも訪れることができて、カフェで過ごしてもいいし、ベンチに座ってもいいし、芝生で休んでも大丈夫という、そういった自由にいられるしつらえになってることが一番理想です。骨董市に行っても何にも買わないでなんか見てるだけの人もたくさんいるように、そういう緩やかさが大事だと思うんです。

後藤 森ビルさんが手がけるヒルズも、何も買わなくても回遊できるような設計をされていますよね。

  そうですね。居住者の方も多くいらっしゃいますし、日常的に居られるような場を考えています。最近では住宅地でもエリマネの取り組みが始まっていて、飯田さんのご経験のように住宅地にあるさまざまな課題に対して住民同士が協力してエリアの価値を上げていこうとしています。そうした中で、我々の立場として地域の方と協力できる可能性はあるのでしょうか。

全国エリアマネジメントネットワーク幹事/森ビル株式会社 中裕樹氏

 

飯田 ここは自分がいてもいい場所なんだ、と思える場をデザインすることが大事だと思います。東京には新しい施設が次々とできており、広場は美しく、座るところも十分に整えられているけれど、自分が場違いに思えてしまうこともあります。この「場違い」の対極には「歓迎」があって、例えばカルディは非常に成功を収めていますが、それはやはり入口でコーヒーをもらえることが嬉しいからだと思うんです。自分がいても大丈夫なんだ、許される場なんだと感じ取る力を人は敏感に持っていると思うので、その点を意識すると地域の人との関わりもすごく変わるんじゃないかと思いますね。

  ありがとうございます。もう一点、クリエイティブクラスの開放性を上げていくことが、その場の質を高めていくという話がありました。確かにエリマネとしてもその可能性を感じていざやろうと思うと、もっと刺激的なイベントをやろうだとか、アートプロジェクトをやろうといった既視感のある企画に落ち着いてしまいます。おそらくアプローチは多様にあると思いますが、取り組む上でどういったことが重要になるでしょうか。

飯田 まず、「インフォーマル・パブリック・ライフはイベントではない」ということを前提に持っていただきたいと思います。日本は季節の行事を大事にしてきた歴史があるので、それをしなければいけない意識が強くありますが、イタリアやフランスの広場ではそこまでイベントは行われておらず、基本は日常的に佇める場なんです。インフォーマル・パブリック・ライフは日常の中のちょっとした非日常を感じる場となっていて、週に3〜4回行く人もいます。しかし、イベントをやっているとその分座れる場所や滞在できる空間がなくなるので、日常的に訪れている人やイベントと関係がないと感じる人を排除することになりかねません。特に日本の広場はそういう側面が強く、イベントをやっていない時は人は端っこを通り、空白地帯になってがらんとしてしまう。そうではなくて、日常的に人が佇める場をつくることが大切だと思いますね。

後藤 過ごし方が選べる状態にあるといいですよね。例えば自分の場合だと昔は居心地が良かった渋谷のセンター街が最近行きづらくなっているんですけど、それは人の変化もあるわけで。やっぱりいろんなものがある程度あるかどうか、全てを揃える必要はないけれど、この街には何が必要かを考え続けないといけないと思います。

飯田 すべての解決策はイベントではなく、そこでゆったりと時を過ごせる場のセッティングをすることだと考えていくといいのではないかと思いますね。日常の中で気軽に外で過ごせる場所というのは、求められてるのに全然ないんです。設計した後にそうした場をつくることは難しいと思われるかもしれませんが、キッチンカーとビストロチェアを何個か出してみるだけでも雰囲気は非常に変わります。そういったできるところからでも試すのもよいかもしれません。

飯田美樹氏

 

  できることからやる時にも、やはり一社ではできないことが多いので、他社の物件や地域の方と一緒に取り組んで、エリア全体の価値を上げていくという意識が重要ですね。
もう一つ、今日の飯田さんのお話を聞いて強く感じたのは、人に対して高い解像度を持って見ていくことです。エリマネでは「人中心」という考え方は以前から言われていることですが、「人」についてもっと具体的に突き詰めるべきだと改めて感じました。

飯田 街やそこにいる人を観察する際には「関係の解像度」を見るといいかもしれません。関係というのは、何かに触れられるとか、匂いがするとか、お店の奥から店員さんが声をかけてくれるといった関係性が生まれる予感のようなものです。自分がいてもいいんだと思える温かみがあるかないかを見ていくと、今後のエリマネにも何かヒントになると思います。

後藤 都市というものはいろんな人の場所であるということが前提にあって、その中でどのように人の活動や交流を促していくか考えるべきだということですね。
やるべきことは時代とともに非常に変わり続けていますが、今日得たヒントをそれぞれの街に応じてカスタマイズしていっていただきたいと思います。

 

 ▷▷▷【開催レポート 全国エリアマネジメントシンポジウム2024_その3】はこちら。

2024年8月30日、エリアマネジメントシンポジウム2024を虎ノ門ヒルズステーションタワーにて開催しました。今回のテーマは「エリアマネジメントの意味を考える」。エリアマネジメントと呼ばれる活動や事業が生まれて20年が経過した今、改めてエリマネを見つめ直す議論を二部構成にて行いました。
多様な立場や地域でエリマネに取り組む方々に登壇いただき、課題や悩みを共有しながら「これからのエリアマネジメント」のヒントに溢れた内容を3回に分けてレポートします。

 

冒頭に、国土交通省 都市局まちづくり推進課長 須藤明彦氏より開会のご挨拶をいただきました。

国土交通省 都市局まちづくり推進課長 須藤明彦氏

「国土交通省では、官民が持つ空間をパブリックな場所として街に開き、 イノベーションの創出や人々のウェルビーイングを実現するまちづくりに向けた政策を推進しているところです。そのためには、ハードの整備だけではなく、多様な関係者間でのビジョンの共有、連携体制の構築、 官民連携のさらなる強化といったことが重要です。その中で、エリアマネジメントの取り組みはますます欠かすことができないものとなりますので、今後の都市再生政策の要にもなるエリアマネジメントのあり方について、皆さまからのご意見もいただきたく考えております」(須藤氏)

 

SESSION1:インフォーマル・パブリック・ライフから考えるエリアマネジメント

最初のセッションテーマは、「インフォーマル・パブリック・ライフから考えるエリアマネジメント」。『インフォーマル・パブリック・ライフ―人が惹かれる街のルール』の著者である飯田美樹氏をゲストに迎え、都市における居心地良さや暮らしやすさの観点からエリアマネジメントの役割を改めて考えていきました。

初めに、飯田氏から「インフォーマル・パブリック・ライフ」について、事例とともにご紹介いただきました。

Lumière 代表/カフェ文化、パブリック・ライフ研究家 飯田美樹氏

 

まず、このテーマで執筆するに至った背景として、自身の経験が大きく影響していたと話します。
カフェ文化やパブリックライフの研究に取り組む傍ら、子供の出産を機に専業主婦になり、京都のニュータウンに引っ越したという飯田氏。そこは大きな公園やショッピングセンターが周辺にあり、ウォーカブルでよく計画された都市だったそうですが、どこか違和感があったそうです。

「いざ暮らしてみると、街のどこを歩いてもほとんど人がいないことが日常でした。 それでも街に適応して楽しもうと心がけて、児童館やママサークルへ出かけていったものの、日増しに得体の知れない孤独が深まるばかりで、泣くことが増える一方だったんです。
そうした日々の中、ある大学の先生から私の研究に近いんじゃないかとレイ・オルデンバーグが書いた『The Great Good Space(翻訳版:サードプレイス―― コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」)』を読むことを勧められました。当時はまだ知られていなかったサードプレイスやカフェの重要性を説いた本で、そこには私が抱えていた得体の知れない孤独と同じものをアメリカの専業主婦たちが抱えていると書かれていたんです」(飯田氏)

オルデンバーグは「元々人間は家庭と職場・学校を第一と第二の場とし、それから第三の場となるインフォーマル・パブリック・ライフがあることで精神的なバランスを取っていた」とし、それに対してアメリカ社会は、第一と第二の場のみで全てを背負ってしまっているため、ストレスが解消されない状態が起きていると指摘しています。
この「インフォーマル・パブリック・ライフ」との出会いを機に、得体の知れない孤独に対する答えがここにあるのではないかと、自らも研究を進めることを心に決めたと言います。

「この第三の場所となる『インフォーマル・パブリック・ライフ』とは、老若男女が気軽に行けて気分転換ができる場所およびその時間と定義しており、具体的には広場、公園、川岸、海辺、市場、商店街などのイメージです。第三の場所というと、日本では『サードプレイス』をイメージするかもしれませんが、サードプレイスはインフォーマル・パブリック・ライフに含まれる中核的な存在と位置付けています。カフェ、パブ、ビアホールといったものがサードプレイスの例で、特にヨーロッパでそれらは社会的なガス抜きの場として機能しています。
一方、そうした場がないと家庭や職場、学校における社会的なストレスを、個人的に解消しなければならず、自分でヨガやジョギング、ジムに行くわけですが、そのお金がない人はストレスを解消することすらできないという悪循環が起こってしまうのです」(飯田氏)

 

ストレスは社会的なものでありながら、解決は個人に委ねられるという悪循環。その循環を解消する鍵となる第三の場=インフォーマル・パブリック・ライフとは、一体どういったものをもたらすのでしょうか。飯田氏はインフォーマル・パブリック・ライフの要素を以下のように挙げました。
=====
● 朝から晩までどんな時間でも人がいる
● 誰にでも開かれており、誰しもがそこでゆっくりすることが許される
● あたたかい雰囲気があり、一人で訪れても、誰かと一緒にいるような安心感がある
● そこに行くと気持ちが少し上向きになる
● そこでは人々がリラックスしてくつろぎ、幸せそうな表情をしている
=====
日本では、南池袋公園や丸の内仲通り、商店街や骨董市もインフォーマル・パブリック・ライフの良い例として挙げられるそうです。

 

では、上記のような特徴を持つインフォーマル・パブリック・ライフの社会的意義とは、どういったことがあるのでしょうか。飯田氏は、自分とは異なる世界にいる人の存在を肌で感じることができる「ソーシャルミックスの促進」、頭の中に抱える悩みや問題を一時的に低下させる「カフェセラピーの効果」、そして家庭や仕事での役割に縛られない「本来の自分自身の獲得」に繋がると述べます。

「最後の『本来の自分自身』とは、厳しい社会規範や教育に抑圧されずになんとか残った忘れかけていた自分、つまり第三の自分を指しています。
サードプレイスが実は人間にとって重要なんだとオルデンバーグが主張したように、私は人間にとって第三の自分こそがもっと重要ではないかと提起したいんです。私がニュータウンでの生活で第三の場と第三の自分が得られずに苦しんだように、自分らしくいられる場所とそうあれる時間が街には必要なんだと強く思うようになりました」(飯田氏)

人の暮らしや社会とって重要なインフォーマル・パブリック・ライフですが、それらの充実は街の動きにも影響を与えると言います。社会学者のリチャード・フロリダは「私が聞き取り調査をした人たちは、刺激的で創造的な感情を提供してるところに住みたいし、住む必要があると主張した」と述べたように、コロナ以前には、パリ、ロンドン、ニューヨークなどで、前代未聞の人口増加が進んでいました。飯田氏は、この背景にある人々の願望をこう分析します。

「人がある街へと引っ越す理由には、そこに行けばよりよい暮らしが期待できるとか、もっと自分らしく生きられるのではないかといった願望があります。今日ここに参加されているまちづくりに取り組む方々にとっても、どうすれば自分の地域が人の願望を惹きつけ、発展できるかが大きな課題ではないかと思います。リチャード・フロリダは、そのための鍵となるのは『まず高い能力を持つ人やクリエイティブな人を惹きつけることだ』と述べており、そうしたクリエイティブクラスや若い世代は、ストリートライフのあるコミュニティやウォーカブルな場所に好感を抱く傾向にあります。経済的に栄えるためにはオフィスビルの繋がりだけでは不十分であり、文化的、社会的刺激に満ちた街であるということが重要だと言われています」(飯田氏)

しかし、ストリートライフのあるコミュニティやウォーカブルな場所であればいいというわけではありません。そうしたものの中に、クリエイティブクラスは何を求めているのでしょうか。ここで飯田氏が経験したニュータウンを再び例に挙げます。

「私が住んでいたニュータウンは、ウォーカブルシティとしては非常に良くできた街でしたが、そこでは『子連れの主婦』としての画一的な経験しかできなかったんです。第二や第三の自分はなく、自分らしくありたいと願っても、それを促す場も許容してくれる場も存在しませんでした。この街での自分の正しい生き方とは、このまま2人目の子供を産んで団地の一室を購入して老後を迎えることで、それ以外の可能性を感じられずに毎日を生きていました。こうした画一的なものの見方や価値観しかない街は、それらに違和感がある人にとっては息苦しさを感じて脱出するしかなくなってしまうんです。
こうした自分の経験を踏まえながら特にお伝えしたいのは、インフォーマル・パブリック・ライフを通した経験への開放性が大事だということです。つまり、自分が持つ絶対的な価値観とは全く異なるものに出会った時に、否定せずに肯定的に捉えられる状態であること。これが人を惹きつける街と抜け出したい街の一番の違いであり、クリエイティブクラスもなぜインフォーマル・パブリック・ライフの充実した街を選ぶのかというと、まさにそこが経験への開放性を促す場になっているからなんです」(飯田氏)

経験への開放性が高い場は、視野を広げるとともにより自身の自由な発想も認めてもらえるようになります。これは画一的な価値観の中で苦しんでいる場合には、生き方を左右するほど重要な環境とも言えます。

「改めてインフォーマル・パブリック・ライフがなぜ重要かと言うと、そこでは社会の規則から離れて自分らしく振る舞うことができるとともに、多様な人がいることで視野が広がり、既存の価値観と違うのも肯定的に受け入れやすくなります。そして、そこには新しいこと、異なることに対する寛容な雰囲気があるので、他では許されないような行動や意見も安心してすることができる。つまり自己表現がしやすくなるので、新しいアイデアも肯定されてイノベーションへと繋がっていくのです。
そしてそうした場に大事なものは、居心地の良さだと思っています。多くの人が集まっているかではなく、長い時間滞在したいと思うかどうか、恒常的に居心地が良いかが重要ということです。人々が主体的に過ごせる場をつくるということが、これからのまちづくりの役割なのではないかと思っています」(飯田氏)

 

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